待望の新造車「こんぴら」号颯爽と登場!
- 1952(昭和27年)当時の情報より -
外観(ヘッドマ-ク(こんぴら号)付き)
この春にさきがけて、讃岐路に画期的というべき新造車がデビュ-しました。
その名も「こんぴら号」としてスマ-トで軽快かつ優秀、快速を誇る新造車であり躍進琴電の第一線に存分の活躍が期待されています。
新車の特徴
◎車両の外観
車体は、コトデンカラ-で明るいクリ-ムと落付いた小豆色に塗分けた極めてスマ-トなものであり、全長約36m、幅約3mの自動開閉戸式永久2両連結車で定員240名の大型車両です。連結器上部は貫通式にして黒色ビニ-ル引蛇腹を装備し前後の車両間を自由に安全に通行できます。また2両連結の片側の自動開閉戸は4枚で従来より遥かに広く、埋め込み式の前照灯は滑らかな明るい車体と相俟って誠に軽快な感じを与えています。
運用前(御披露前)仏生山駅にて
◎客車内部
☆明朗快適天井は新鮮なクリ-ム色と緩やかなカ-ブとがよく調和して明朗であり羽目板及び幕板には木目印刷の鋼板を使用し美術的感覚を与えています。座席は、やや低めにしかも幅広くゆったりとし、窓は大きく天井に並ぶ14個の車内灯は蛍光色に輝き隅々まで同一の照明度を保っています。
☆防寒暑・防音設備
寒暑の温度調節と防音に備えて座席裏および天井板鋼板裏にはフェルトを張ってあり夏季には冷風を送り、冬季には保温するため天井には換気調節装置が施されています。
☆安 全
出入口および側窓ガラスは最新高級強化ガラスを使用し、車内の造作には従来の木製部分を極力鋼製し、軽量しかも堅固にし、また屋根板その他重要部には難燃塗料を施しています。
☆その他
車両の動揺にも拘わらず揺れない “リコ式”の吊革、青黒い落ち付いたリノリュ-ム張りの床、クロ-ムに輝く金属網棚、二段装置のガラス窓など何れも乗客本位の要素が各部に盛られ設計者の苦心の跡が偲ばれます。
客室内 (広報用)
◎電気・機械設備
電動機は150馬力4台を装備し車両最大速度100㎞/hは優に出せます。
制動方式は従来のものと異なり “多段式自動加速方式、常用発電制動装置付(空気制動方式)総括制御方式”であり、出発停止とも迅速にしかも軽快に行うことができます。
また電気制動と空気制動とは連動する装置であり主幹制御器のハンドルにより電動から制動、停止までを操作することが出来ます。この装置は我が国最初の試みであり本車両の一大特徴であります。そしてこの車両の電気装置は電車線電圧1500V区間の運転を主体としておりますが600V区間でも運転できるよう特別の装置が施されています。
この文は開発完成時に一部社員及び私鉄他社広報向けに出されたもので、発表は昭和27年3月作成でした。(添付写真共)
10000形の三大特徴
①国内初の電気ブレ-キ空気ブレ-キ併用車両
②現在のワンハンドル車両の原点(国内初のワンハンドル車)
③電圧 1500V・600V併用対応車両(中小電鉄初)
文章および写真ご提供:ステーション様
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